jeudi 15 octobre 2015


お国変われば運転マナーも変わる

皆様、私、フランスからカナダに移り住んで一番うれしかった事があります。

それは車の運転です。

日本で運転していた時は、まあ、嫌なこともありましたが、強いストレスを感じたことはありませんでした。

しかし、フランス、フランスというよりパリです。パリの運転が強烈でした。

車で町に出かけるときには「さあ、これから戦いね!」と心でつぶやいたほどです。

駐車場を出た瞬間から、戦いは始まります。

駐車場から道路に出る前に歩道を横切らなければいけません。

歩行中のパリジャン(パリの人のこと)は、簡単に車のために道を譲ってくれません。

ずっと待っていたら、そこにずっといることになります。

ですので、無理やり、前にでるのです。もちろん、人はひきませんよ。

「私を行かせてくれなかったら、ひいちゃうよ!」ぐらいの勢いで前にでなければ行かせてくれないのです。

我が家からパリ中心部に行くには、皆様もご存知のあの凱旋門を通らなくてはいけません。

ここが私の「激戦区」でした。

ここは丸いサークルになっていて、凱旋門を中心に十二本の道が放射線状に通じています。サークルは左回りです。サークル内には信号はありません。また車両を区切る線もありません。ですので、放射線状の右方向から道から入ってきた車が、また、ちがう放射線状の右方向の道へ行きたいわけですから、この12本の道から入ってきたそれぞれの車が行きたい道を選択し、それに向かってまっしぐら。そうすると、すごいことになります。

この混乱を少なくしようと、この十二本の通りの何か所かに信号機があり、入ってくる車の量をコントロールしようとしていますが、それがなかなか難しい。。大きな交差点を信号なしでスムーズに多くの車を誘導する目的で作られたようですが、このパリでは運転する人たちの性格が問題です。一回の信号機の青で我先とかなりのスピードで予想以上の車が一度にこのサークルに入ってきます。普通に日本の感覚でこの中にはいってしまうと、あれよあれよと、青信号ではいってきた右側優先の人たちにどんどん押し寄せて、気が付くと、凱旋門側、つまり、自分の目指す道から一番遠いところに追いやられてしまうのです。

そして、その中に大きな観光バスが侵入してきた時などは、完全に交通マヒ状態になります。クラクションの嵐に怒鳴り声。たぶん、凱旋門の上からパリ市内を優雅に眺めていらっしゃる観光客の皆様からは、ただ、車が何重にもなって、ぐるぐる回っているだけにしか見えないかもしれませんが、中にいる人たちは、もう、必死です。私は、初めのころ、もちろん、ここからすぐには脱出できず、このサークルを3,4週ほど回りながら、やっと行きたい方向へ行けたものです。

あるときフランス人の友人へこんなことを私は言いました。

「私、あの凱旋門だけは一度で脱出できないわ。みんな、どうやって一度であの混雑の中、自分の行きたい道へいけるのかしら?神業ね。」と質問したところ、「こつを教えてあげる。それはね。他の車を見ないこと、目をあわせないこと、そして、自分の行きたい道へまっしぐら。それしかないね。」と。

これは、私の日本で習った車の運転マナーとまったく逆ではないですか?!ねえ、みなさん、安全確認第一ですよね?!!

しかし、ここは郷に入ったら鄕に従えです。私もとにかく言うとおりにやってみました。その結果、嘘のようにうまくいったのです。

そう、他の車を見ず、自分の行きたい方向だけを見て、殺気立って運転すると、まわりがよけてくれます。自己主張するのです。その強さが勝っている人が勝利を勝ち取る!つまり、そこから脱出できるのです。確かにあぶない、もう、ぶつかってしまうんではないかと思うぐらいに左右に車がせまってきます。でも、以外にも、迫り寄ってくる車を見ていないと相手が気づくと、危険を感じ、自分から身を引いて道を譲ってくれるのでした。

この日から、私は運転方法を変えました。どこへ行くのも、殺気立ち、戦いに勝つぞ、というオーラを醸し出しながらの運転です。

フランス滞在中、頻繁に日本の友人がパリに遊びに来てくれました、そして、よく、車でパリを案内すると、「可奈子、運転、少し、怖い。なんか人が変わってしまったみたい。まるで外国人みたい」とのこと。

そして私は、とっさに答えていました。「みんな、安心して日本に戻ったら、ちゃんと日本人に戻れるから!!」と。

さらに、パリで高度の技術が必要なのは縦列駐車です。

パリは何しろ、駐車スペースが足りません。しかも高層ビルの建設も制限されているので、地下か路上にしか駐車できません。もう、飽和状態です。その中で、どうしても、車でパリ市内に出かけなければいけないこともしばしば。

まず、駐車スペースの狭いこと小さいこと。それに、四方八方から、同じ駐車スペースを狙っている車が何台もいるので、まるで真剣勝負の椅子取りゲームのようです。

「あ、車が出た~!あそこへ駐車だ~!!」と狙いを定めて走り出しても、そのスペースを狙っているのはたいてい2台以上。。もうひどいときには、一方通行の道をバックで全速力で、そのスペースめがけて逆走してくる車も多々あり。これは戦いの他に何物でもありません。そして、負けた敗者は、窓を開け、「プルタン!」(フランス語のスラングでくそっ!という意味です。)と一言叫んで立ち去ります。ひどいでしょ!

自分がこの戦いに勝ったとしても、今度はどう見ても、普通に縦列駐車をしたくてもできないスペースしかないではありませんか?!というかスペースは、ない、といったほうが的確な表現。「みんな、どうやって縦列駐車しているのかな?!」とよく観察すると、なんとなんと、前と後ろの車を自分の車で押しているではありませんか??!!

そう、前後の車を自分の車のバンパーで押しながら、縦列駐車をするのです。もちろん、その押した前後の車も少し動きます。それによってできたスペースでやっと縦列駐車できるのです。すると、もちろん、その押された車とその前の車にはスペースは残っていませんから、また、その車が出るときは、その、前後の車を少し押して縦列駐車から脱出するのです。

「え~!そんなことしていいの~!!!??」と私。

「え~!じゃあ、バンパーは何のためにあるの~!!??」とフランス人の友人。(パリジャン)

なれとは恐ろしいもので、というより、前後の車を押さないと縦列駐車できませんから、私もパリジャンのように、後ろの車を、「よいっしょ!もう少し、あともう少し。」と少し遠慮しながら、30センチ、50センチ、1メートル、と押していると、なんと、車の中に運転手が乗っていたではありませんか?!

この前後の車を押しての縦列駐車、パリでは暗黙の了解で日常茶飯事に行われていますが、実際、自分の車を押されているのを目撃すれば、やはり、誰も黙っていません。

当然怒ります。

私、こういう時、思いっきりスマイルです!これもパリジャンヌ(パリの女性のこと)に教わった方法です。何しろ、最高の笑顔です!!これしかありません!!

すると、運転手は、怒っていた顔からあきれたような顔になり、手のジャスチャ―で、「こら!おしおきしちゃうよ!」(フランス人がよくする手のジェスチャーの一つです。)と表現し、案外、これだけで済んでしまうのがパリジャンのおもしろいところでもあると思います。(笑)

 

冒頭の話に戻りますが、フランス、パリからここカナダ、ケベックに引っ越してきて、一番うれしかったことが、ここの運転マナーです。

みなさん、なんと、よく運転マナーをよく守ること。安全運転なこと。

例にあげますと、すばらしい交差点のルールがあります。交通量の少ない郊外に限りますが、こちらも凱旋門と同じように信号ありません。

でも、こちらは、それぞれの道に一時停止の表示があり、そこへ最初に着いた車が最初にこの交差点を曲がる権利があるのです。

交差点の4方向から、車がほとんど同時に来ても、とっさに、皆、数秒単位の時差を正確に読み取り、実にスムーズに交差点を行き来することができるのです。万が一、同時になった場合は、男性は女性に、女性は若者、若者は老人というふうに弱いものを先に行かせる習慣が言わずがままに自然と行われています。

私、この交差点に最初に遭遇した時、向かい合わせに停車しているケベックワーズ(ケベック人のこと)の車のドライバーが、「どうそ、お先に。。」と手と笑顔でゆったり対応してくれた時には、「ここは、天国?!!。」と思えるぐらい感動しました。

結論です。

今、パリから離れ、冷静に考えると、パリの人たちも、これほどまでに交通量が増えるなど予想もしていなかったと思います。また、パリだけに限らず、この都市人口集中型が引き起こす車の問題は、きっと、世界の多くの大都市の抱える難題かと思います。

お国かわれば運転マナーもかわります。

皆様、海外で運転する際には、それぞれの国の運転マナーを入念に下調べをしていってくださいね。特に運動部などで競争心を鍛えてこなかった皆様、椅子取りゲームなど、苦手な皆様、パリでは運転せずに観光バスでの観光をお勧めいたします。また、凱旋門に登ったら、上から下の車の様子を観察してみてはいかがでしょうか。楽しい旅の思い出になること、まちがいなし!(笑)おすすめはラッシュアワー時です。

あ、くれぐれも日本で縦列駐車するとき、パリジャンの真似はしないでくださいね。日本だったら、きっと捕まります。(笑)

 https://www.youtube.com/watch?v=yHTpcyoJdKI
 

 

 

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